硬度/Hardness
雑談
過去の記事の中で時々モース硬度という単語を使っています。
非常に有名なので敢えて説明することもないのですが、
たまに自分でも忘れるので確認のために、硬度と対応する鉱物の和名、
英名、英名の日本語読みと化学組成式を記しておきます。
モース硬度1 滑石/Talc(タルク)Mg3Si4O10(OH)2
2 石膏/Gypsum(ジプサム)CaSO4·2H2O
3 方解石/Calcite(カルサイト)CaCO3
4 蛍石/Fluorite(フローライト)CaF2
5 燐灰石/Apatite(アパタイト)Ca5(PO4)3(F,Cl,OH)
6 正長石/Orthoclase(オーソクレース、オルソクレース)KAlSi3O8
7 石英/Quartz(クォーツ)SiO2
8 黄玉/Topaz(トパーズ、トパズ)Al2SiO4(F,OH)2
9 鋼玉/Corundum(コランダム)Al2O3
10 金剛石/Diamond(ダイヤモンド)C
英語の日本語読みには幾つかバリエーションがあるので、
ここに書いたものが必ず正しいというわけではありません。
ちなみに、過去の記事に出てきた黒曜石は硬度5、硫黄は2、
セレナイトは石膏の1種なので2、バラ輝石とパイロクスマンジャイトは6、
Cubeコレクションその一は2.5、金鉱物は約2.5、貴重かもしれない鉱物は1‐1.5です。
モース硬度は非常に有名ですが、硬さを測る尺度は1つではありません。
鉱物の硬さは大きく分けて、引っ掻き硬度と押し込み硬度の2種類あり、
それぞれに測定法が存在します。
モース硬度は引っ掻き硬度の一種であり、お互いに引っかき合い、
傷が付くかどうかを硬さの基準にしている相対的な尺度です。
また、良く知られていることですが、傷つき難さであって、壊れ難さではありません。
人間の爪は硬度2.5、鉄製のナイフが5.5とされており、鉱物を鑑定する目安となっています。
最近では10段階ではなく、15段階の新モース硬度なるものがあるようですが、
増えた5つが人工物のため、鉱物分野ではそのまま10段階のモース硬度を使っています。
もう一つの測定法である押し込み硬度とは、測定対象の一面に、一定の重さを持つ
重りを押し付け、出来た穴の大きさによって硬さを決める方法です。
前述したように幾つかあるのですが、鉱物分野では主にビッカース硬度、
まれにヌープ硬度などが使われるようです。
最も良く使われるビッカース硬度ですが、逆ピラミッド型のダイヤモンドを押し付けます。
詳しい式は省きますが簡単に言うと、重りの重さを出来た凹みの表面積で割った数値が
ビッカース硬度になります。式にすると以下のようになります。
ビッカース硬度=重さ/凹みの表面積
硬い鉱物ほど凹みが小さくなり、表面積も小さくなるので、
柔らかい鉱物は数値が低く、硬い鉱物は高くでます。
とはいえ、重りの乗せ方も10gを1秒押し付ける、100gを10秒押し付けるなど、
いろいろなやり方があるため、同じ鉱物でも必ず数値が一定になるわけではありません。
また、同じ鉱物でも不純物の有無や結晶度の違いによって硬さが異なり(金鉱物など)、
さらに1つの鉱物でも結晶の向きによって硬度が変わる(二硬石)など、
とにかく広い範囲の数値になります。
今後何かの機会にビッカースの硬度(他の硬度計もですが)を調べる時は、
荷重(重りの重さと、何秒押し付けたか)や結晶の向きを気にした方が良いかもしれません。
以下は、モース硬度とビッカース硬度の関係です。かなり古い論文ですが、
下記の文献を参考にしています。
Young, B. B., and Millman,A.P. (1964).
モース硬度 ビッカース硬度(荷重100g)
1 滑石/Talc 7-19*
2 石膏/Gypsum 35-48
3 方解石/Calcite 105-116
4 蛍石/Fluorite 174-203
5 燐灰石/Apatite 454-596
6 正長石/Orthoclase 642-933
7 石英/Quartz 1266-1561
8 黄玉/Topaz 1478-2012
9 鋼玉/Corundum 2097-2758
10 金剛石/Diamond 約9000**
* 荷重100gでは柔らかすぎて測定できないため、荷重15g
** 元の論文に記載なし。引用は幾つかのサイトから。
御覧の通り、ダイヤモンドだけずば抜けています。
さすがダイヤモンド、と言いたい所ですが、
実はダイヤモンドより硬い鉱物や人工物が有ります。
前者はロンズデーライト/Lonsdaleite、ウルツァイト型窒化ホウ素の2つ、
後者はハイパーダイヤモンドと呼ばれています。
人工物はあまり詳しくないので説明しませんが、
鉱物2つについては後々話題にしたいと思います。
非常に有名なので敢えて説明することもないのですが、
たまに自分でも忘れるので確認のために、硬度と対応する鉱物の和名、
英名、英名の日本語読みと化学組成式を記しておきます。
モース硬度1 滑石/Talc(タルク)Mg3Si4O10(OH)2
2 石膏/Gypsum(ジプサム)CaSO4·2H2O
3 方解石/Calcite(カルサイト)CaCO3
4 蛍石/Fluorite(フローライト)CaF2
5 燐灰石/Apatite(アパタイト)Ca5(PO4)3(F,Cl,OH)
6 正長石/Orthoclase(オーソクレース、オルソクレース)KAlSi3O8
7 石英/Quartz(クォーツ)SiO2
8 黄玉/Topaz(トパーズ、トパズ)Al2SiO4(F,OH)2
9 鋼玉/Corundum(コランダム)Al2O3
10 金剛石/Diamond(ダイヤモンド)C
英語の日本語読みには幾つかバリエーションがあるので、
ここに書いたものが必ず正しいというわけではありません。
ちなみに、過去の記事に出てきた黒曜石は硬度5、硫黄は2、
セレナイトは石膏の1種なので2、バラ輝石とパイロクスマンジャイトは6、
Cubeコレクションその一は2.5、金鉱物は約2.5、貴重かもしれない鉱物は1‐1.5です。
モース硬度は非常に有名ですが、硬さを測る尺度は1つではありません。
鉱物の硬さは大きく分けて、引っ掻き硬度と押し込み硬度の2種類あり、
それぞれに測定法が存在します。
モース硬度は引っ掻き硬度の一種であり、お互いに引っかき合い、
傷が付くかどうかを硬さの基準にしている相対的な尺度です。
また、良く知られていることですが、傷つき難さであって、壊れ難さではありません。
人間の爪は硬度2.5、鉄製のナイフが5.5とされており、鉱物を鑑定する目安となっています。
最近では10段階ではなく、15段階の新モース硬度なるものがあるようですが、
増えた5つが人工物のため、鉱物分野ではそのまま10段階のモース硬度を使っています。
もう一つの測定法である押し込み硬度とは、測定対象の一面に、一定の重さを持つ
重りを押し付け、出来た穴の大きさによって硬さを決める方法です。
前述したように幾つかあるのですが、鉱物分野では主にビッカース硬度、
まれにヌープ硬度などが使われるようです。
最も良く使われるビッカース硬度ですが、逆ピラミッド型のダイヤモンドを押し付けます。
詳しい式は省きますが簡単に言うと、重りの重さを出来た凹みの表面積で割った数値が
ビッカース硬度になります。式にすると以下のようになります。
ビッカース硬度=重さ/凹みの表面積
硬い鉱物ほど凹みが小さくなり、表面積も小さくなるので、
柔らかい鉱物は数値が低く、硬い鉱物は高くでます。
とはいえ、重りの乗せ方も10gを1秒押し付ける、100gを10秒押し付けるなど、
いろいろなやり方があるため、同じ鉱物でも必ず数値が一定になるわけではありません。
また、同じ鉱物でも不純物の有無や結晶度の違いによって硬さが異なり(金鉱物など)、
さらに1つの鉱物でも結晶の向きによって硬度が変わる(二硬石)など、
とにかく広い範囲の数値になります。
今後何かの機会にビッカースの硬度(他の硬度計もですが)を調べる時は、
荷重(重りの重さと、何秒押し付けたか)や結晶の向きを気にした方が良いかもしれません。
以下は、モース硬度とビッカース硬度の関係です。かなり古い論文ですが、
下記の文献を参考にしています。
Young, B. B., and Millman,A.P. (1964).
Microhardness and deformation characteristics of ore minerals.
Trans. Inst. Min. Metall. 73,437-466.
モース硬度 ビッカース硬度(荷重100g)
1 滑石/Talc 7-19*
2 石膏/Gypsum 35-48
3 方解石/Calcite 105-116
4 蛍石/Fluorite 174-203
5 燐灰石/Apatite 454-596
6 正長石/Orthoclase 642-933
7 石英/Quartz 1266-1561
8 黄玉/Topaz 1478-2012
9 鋼玉/Corundum 2097-2758
10 金剛石/Diamond 約9000**
* 荷重100gでは柔らかすぎて測定できないため、荷重15g
** 元の論文に記載なし。引用は幾つかのサイトから。
御覧の通り、ダイヤモンドだけずば抜けています。
さすがダイヤモンド、と言いたい所ですが、
実はダイヤモンドより硬い鉱物や人工物が有ります。
前者はロンズデーライト/Lonsdaleite、ウルツァイト型窒化ホウ素の2つ、
後者はハイパーダイヤモンドと呼ばれています。
人工物はあまり詳しくないので説明しませんが、
鉱物2つについては後々話題にしたいと思います。
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プロフィール
HN:
heliodor
性別:
男性
趣味:
石磨き他
自己紹介:
岩石・鉱物学を修めています。
研究とは別に、自ら採取したもの、買った物、廃棄物からの取得物を用い、石を磨いています。
研究とは別に、自ら採取したもの、買った物、廃棄物からの取得物を用い、石を磨いています。
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