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どんな石でも磨けば光る

綺麗な石も普通の石も磨いてみます

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戦利品紹介8

ここの所、晴れた日は毎日のように大学構内でバーベキューやジンギスカンパーティが行われ、
辺り一面に良い匂いが充満します。集中を要する作業をしている時は勘弁して欲しいです。

今日はアルミを含むケイ酸塩鉱物を紹介します。
変な言い方ではありますが、アルミノケイ酸塩とは別です。
アルミノケイ酸塩はケイ酸であるSiO2のSIを、一部Alに置き換えた鉱物です。
沸石や粘土鉱物、長石などがそれにあたりますが、今日お見せする鉱物3つの内、
アルミノケイ酸塩は長石だけのため、上記のような言い回しをしました。
長石以外はただ単に、Alを含むケイ酸塩です。



写真1 グリーンムーンストーンの原石。縦横高さ、それぞれ約1.5㎝。

写真1はムーンストーンです。日本語では月長石と言い、長石の一種です。
正式な鉱物名ではなく通称ではありますが、宝石としても原石としても人気が高く、
ミネラルショーなどの場には必ず陳列しています。
これは、新宿ショーにて500円で購入しました。

長石は地殻中に最も多く存在する鉱物で、ほとんどの岩石に含まれています。
モース硬度6で、化学組成は(Na,K,Ca)(Si,Al)4O8と表します。
NaやK、Caの所にBaやSr、アンモニウム(NH4)が入ることがあります。
通常、Na-K系のアルカリ長石と、Na-Ca系の斜長石に分けられます。
成分が連続的に変化するため、結晶系も変化し、三斜晶系、単斜晶系、
斜方晶系の3つの結晶系を取ります。
ムーンストーンは化学組成で見るとNa-K系のアルカリ長石に分類され、
単斜晶系と三斜晶系の2つの結晶系に属します。

ムーンストーンに特有な色はシラー効果と呼ばれ、鉱物の層と層の間で
反射した光によるものだとされています。
宝石としてはインドやスリランカ産が有名ですが、比較的多くの国で産出します。

写真のムーンストーンはやや緑がかっているためグリーンムーンストーンと名付けられていました。
手ごろな大きさで研磨しやすいのですが、形を生かしてサイコロにするか、
ムーンストーンらしくカボションのようにするか、迷っています。



写真2 灰鉄ザクロ石。縦6~7㎝、横7~8㎝、高さ5㎝。


写真2は灰鉄ザクロ石で、英語ではAndradite(アンドラダイト)と言います。
飯田橋のショーにて購入し、握り拳ほどの大きさで、500円でした。

和名の通り、ザクロ石の1種で、CaとFeを含んでいます。
和名は結構便利で、成分を表しています。つまり、灰はCaのことで、鉄はそのままです。
実はAlを含んでいない事に今気づきましたが、ザクロ石は一般的にAlを含むことが多く、
固定観念がありました。ザクロ石グループはほとんどが等軸晶系に属し、モース硬度は7前後の事が多いです。
化学組成はA3B2Si4O12と表され、Aの部分には二価の陽イオンが、Bの部分には三価の陽イオンが入ります。
灰鉄ザクロ石は上述の通り、AにCa、BにFeが入ります。
Caを含むザクロ石は他にもいくつかありますが、概ねスカルンと呼ばれる変成岩中に産出します。
写真2のように褐色や抹茶色の結晶が多いですが、稀に綺麗な緑や黄緑色を示す物があり、
デマントイドという名で高価な宝石として売られています。

写真2はかなり大きな標本ですが、灰鉄ザクロ石の結晶自体は小さいので研磨に向きません。
ぼろぼろと崩れる可能性があるためです。研磨するなら樹脂で固めてからになりますが、
観賞用として置いておくか、機会を見つけてカットした上で研磨するかは、決めていません。



写真3 菫青石。縦2.5㎝、横4㎝、厚さ1㎝。右は光を通して見たもの。


最後は菫青石です。英語ではcordierite(コーディエライト)と言い、
アイオライトと言う名で宝石として売られています。
鉱物学的には、菫青石は斜方晶系に属し、モース硬度は7~7.5、
化学組成はMg2Al4Si5O18で、Alの多い変成岩によく見られます。
結晶の向きによる色の変化が非常に強く、二色の石という意味の
ダイクロアイトという別名が付いています。
普通は、和名の通り菫色から青色を呈します。

スリランカやインドに多く産し、何回かその地域に調査に行ったことがあるので、
実は手元に研究用試料がたくさんあります。しかし、写真のようなサイズの結晶はそうありません。
写真のものは平べったく磨きやすいと思ったため、1000円くらいで手に入れました。
新宿ショーでの購入です。
いずれライトを当てなくても光が通るように薄くし、両面を磨いて板状にし、
アクセサリーっぽくしてみたいと思います。



次回は緑の鉱物をお見せします。
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プロフィール
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趣味:
石磨き他
自己紹介:
岩石・鉱物学を修めています。
研究とは別に、自ら採取したもの、買った物、廃棄物からの取得物を用い、石を磨いています。
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