戦利品紹介2
雑談
昨日の続きです。予告した通り、石英系の鉱物を紹介いたします。
今回、新宿で開催されたミネラルフェアと飯田橋で開催されたミネラルマーケットの
両方に行きましたが、東京国際ミネラルフェアは全て業者の方が出展している一方、
ミネラルマーケットは個人コレクターが出展していました。中には業者の方もいたかも
しれませんが、少なくとも屋号を示す看板やネームカードがなかったです。
出展者の違いは出展物にも現れ、各種水晶、アメジスト、バラ水晶など、
原石もルースも宝石も、石英系は圧倒的に新宿のミネラルフェアが多かったです。
一方、飯田橋のミネラルマーケットはコレクターの集まりなだけに、
一風変わった物が売っていました。

写真1は定番、アメジストです。紫水晶とも言われますが、比較的ありふれています。
ブラジル産などが有名ですが、鉱物資源が少ないと言われている(個人的には
異を唱えたい主張ですが、一般的に。)日本でも採取できます。
1パック500円。研磨用に買いました。高いか安いかは判りません。
いずれ磨いていく過程をお見せしたいと思います。
写真2 写真1同様、新宿ショーで買ったバラ水晶。どちらも同じ物で表裏を撮影した写真。
縦3㎝、横4㎝。
写真2は近年よく見るようになったバラ水晶です。紅水晶、ローズクォーツとも呼ばれます。
アメジストと同様ブラジル産が有名で、おそらくこのバラ水晶もそうだと思われますが、
ブラジルと双璧を成すマダガスカル産を始め、ドイツやロシア、アメリカ、ナミビアなど、
世界各地のペグマタイト鉱床で産出されています。
私も研究でスリランカに行ったときに、いくつか採取したことがあります。
ピンクに色付く理由は良く判って無いようです。不純物の無い純粋なSiO2は無色透明ですので、
アメジストにしてもバラ水晶にしても、色が付く理由はそれぞれあります。
構成元素の一部が別の元素に置き換わることによる着色が多いのですが、
微小な別の鉱物が包有されていたり、結晶構造が歪んでいたり、様々です。
アメジストの場合は鉄が、バラ水晶の場合はチタンやマンガンなどが含まれるため、
という説があるそうです。
それはともかく、このバラ水晶も研磨用に買いました。1個500円でした。
機会があれば一面を磨くだけではなく、切って形を整えてサイコロにしてみたいと思います。
写真3 六角形の高温石英。そろばん玉の形をしている。サイズは7~8mm。
本日最後の紹介です。写真3は少し変わった石英で、高温石英、βクォーツとも言われます。
石英の中ではこれだけ、飯田橋のミネラルマーケットで購入しました。
通常の水晶の柱頭のように六角形をしておりますが、これは柱面にあたる部分が無く、
そろばん玉のように六角錐を2つ底面で張り合わせたような形をしています。
高温石英の名の通り、570~580℃以上で出来る石英ですが、大きな結晶は中々見ません。
この手のミネラルショーではとても久しぶりに見ましたので、すぐに購入を決めました。
他の鉱物と一緒に買ったため正確な値段は覚えてませんが、2000円以下なのは確かです。
この標本は1㎝以下と非常に小さいので、研磨には使い難く、観賞用です。
しかしながら、いつかは大きな結晶を調達して、磨いてみたいと思います。
次回は硫化鉱物の紹介をしたいと思います。
今回、新宿で開催されたミネラルフェアと飯田橋で開催されたミネラルマーケットの
両方に行きましたが、東京国際ミネラルフェアは全て業者の方が出展している一方、
ミネラルマーケットは個人コレクターが出展していました。中には業者の方もいたかも
しれませんが、少なくとも屋号を示す看板やネームカードがなかったです。
出展者の違いは出展物にも現れ、各種水晶、アメジスト、バラ水晶など、
原石もルースも宝石も、石英系は圧倒的に新宿のミネラルフェアが多かったです。
一方、飯田橋のミネラルマーケットはコレクターの集まりなだけに、
一風変わった物が売っていました。
写真1 新宿ショーで買ったアメジスト。4個1パックで、1辺3~4㎝程のサイズを持つ。
写真1は定番、アメジストです。紫水晶とも言われますが、比較的ありふれています。
ブラジル産などが有名ですが、鉱物資源が少ないと言われている(個人的には
異を唱えたい主張ですが、一般的に。)日本でも採取できます。
1パック500円。研磨用に買いました。高いか安いかは判りません。
いずれ磨いていく過程をお見せしたいと思います。
写真2 写真1同様、新宿ショーで買ったバラ水晶。どちらも同じ物で表裏を撮影した写真。
縦3㎝、横4㎝。
写真2は近年よく見るようになったバラ水晶です。紅水晶、ローズクォーツとも呼ばれます。
アメジストと同様ブラジル産が有名で、おそらくこのバラ水晶もそうだと思われますが、
ブラジルと双璧を成すマダガスカル産を始め、ドイツやロシア、アメリカ、ナミビアなど、
世界各地のペグマタイト鉱床で産出されています。
私も研究でスリランカに行ったときに、いくつか採取したことがあります。
ピンクに色付く理由は良く判って無いようです。不純物の無い純粋なSiO2は無色透明ですので、
アメジストにしてもバラ水晶にしても、色が付く理由はそれぞれあります。
構成元素の一部が別の元素に置き換わることによる着色が多いのですが、
微小な別の鉱物が包有されていたり、結晶構造が歪んでいたり、様々です。
アメジストの場合は鉄が、バラ水晶の場合はチタンやマンガンなどが含まれるため、
という説があるそうです。
それはともかく、このバラ水晶も研磨用に買いました。1個500円でした。
機会があれば一面を磨くだけではなく、切って形を整えてサイコロにしてみたいと思います。
写真3 六角形の高温石英。そろばん玉の形をしている。サイズは7~8mm。
本日最後の紹介です。写真3は少し変わった石英で、高温石英、βクォーツとも言われます。
石英の中ではこれだけ、飯田橋のミネラルマーケットで購入しました。
通常の水晶の柱頭のように六角形をしておりますが、これは柱面にあたる部分が無く、
そろばん玉のように六角錐を2つ底面で張り合わせたような形をしています。
高温石英の名の通り、570~580℃以上で出来る石英ですが、大きな結晶は中々見ません。
この手のミネラルショーではとても久しぶりに見ましたので、すぐに購入を決めました。
他の鉱物と一緒に買ったため正確な値段は覚えてませんが、2000円以下なのは確かです。
この標本は1㎝以下と非常に小さいので、研磨には使い難く、観賞用です。
しかしながら、いつかは大きな結晶を調達して、磨いてみたいと思います。
次回は硫化鉱物の紹介をしたいと思います。
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戦利品紹介1
雑談
東京国際ミネラルフェア(新宿ショー)とミネラルマーケット、行ってきました。
買ってきた鉱物の整理と写真を撮るのに時間が掛かってしまいました。
東京は梅雨入り直後だったので、残念ながら雨が多かったのですが、
天気が悪いにも関わらずどちらのミネラルショーも多くの人で賑わっておりました。
写真を撮るのは基本的に禁止だったので会場の様子はお見せできませんが、
戦利品を紹介していきたいと思います。
観賞用、研磨用、お仕事用といろんな目的で岩石、鉱物を買い漁って来ましたが、
今日お見せするのは、そもそもミネラルショーに行く動機となった物です。
写真1 見た目はただの石。縦4㎝、横5㎝。
写真1の岩石は1500円で買いました。見た目は白っぽい灰色、
一見すると石灰岩や苦灰岩にも見えますが、ウェルネ石(wernerite)という鉱物が多く含まれています。
ウェルネ石という鉱物は柱石の一種であり、厳密に言うと鉱物種ではないようです。
柱石は硬度5~6で、ここではちょっと説明し難い非常に複雑な化学組成を持ちます。
石灰岩や深成岩、変成岩と比較的幅広く産出しますが、カルシウムが多く含む岩石に見られます。
写真1のウェルネ石は見た目は地味な岩石ですが、特徴的な性質を持っています。
写真2 部屋を暗くし、ブラックライトを当てたウェルネ石の様子。
写真2は部屋を暗くして長波紫外線を当てたウェルネ石です。
写真1では白っぽい部分が黄色くなっていることが判ります。
これは蛍光と言われ、鉱物に紫外線を当てると一旦吸収された紫外線が、
余分なエネルギーとして放射され、光として見える現象です。
蛍光する鉱物は蛍光鉱物と呼ばれ、稀少というほどではないですが
それほど多くは有りません。ウェルネ石は黄色の蛍光を出す蛍光鉱物の1つです。
蛍光鉱物は実習などで良く使うのですが、このウェルネ石は手元にありませんでした。
買いたいと思っていたところ、とあるサイエンスショーで蛍光鉱物を展示していた博物館の方に、
東京ミネラルフェアにのみ出展するとある業者から安く買えるということを聞き、
買いに行くことになった、という訳です。
ウェルネ石は目的の1つでしたが、もちろん他にもたくさん買いました。
蛍光鉱物つながりではハックマン石(Hackmanite)という鉱物が有ります。
写真3 縦2cm、横3cmほどのハックマン石。右はブラックライトを当てた様子。
オレンジ色の蛍光が見られる。
写真3はハックマン石(青色部分)と長波紫外線を当てた様子です。
ハックマン石は硬度5.5、方ソーダ石の一種で、同じグループに
サファイアと似ていてサファイアより高い宝石の藍方石(hauyne/アウイン)、
ラピスラズリを構成する主鉱物である青金石(lazurite/ラズライト)などがあります。
このハックマン石も上記2つと同様に宝石として扱われていますが、
蛍光を発するという以外に、大変珍しい性質を持ちます。
それは変色するというもので、太陽光(紫外線)に当てると赤紫になります。
そしてしばらくすると少しずつ色が戻ります。
変色効果と言われるこの性質は、アレキサンドライトに代表されるように
光の当て方によって変色することがほとんどなのですが、
ハックマン石は石そのものの色が変化する稀有な鉱物です。
今回上記の標本を500円で手に入れたのですが、それほど大きくないとはいえ、
大変お買い得だったと思っています。
今回は蛍光鉱物の紹介ということで、次回は石英系を紹介いたします。
買ってきた鉱物の整理と写真を撮るのに時間が掛かってしまいました。
東京は梅雨入り直後だったので、残念ながら雨が多かったのですが、
天気が悪いにも関わらずどちらのミネラルショーも多くの人で賑わっておりました。
写真を撮るのは基本的に禁止だったので会場の様子はお見せできませんが、
戦利品を紹介していきたいと思います。
観賞用、研磨用、お仕事用といろんな目的で岩石、鉱物を買い漁って来ましたが、
今日お見せするのは、そもそもミネラルショーに行く動機となった物です。
写真1 見た目はただの石。縦4㎝、横5㎝。
写真1の岩石は1500円で買いました。見た目は白っぽい灰色、
一見すると石灰岩や苦灰岩にも見えますが、ウェルネ石(wernerite)という鉱物が多く含まれています。
ウェルネ石という鉱物は柱石の一種であり、厳密に言うと鉱物種ではないようです。
柱石は硬度5~6で、ここではちょっと説明し難い非常に複雑な化学組成を持ちます。
石灰岩や深成岩、変成岩と比較的幅広く産出しますが、カルシウムが多く含む岩石に見られます。
写真1のウェルネ石は見た目は地味な岩石ですが、特徴的な性質を持っています。
写真2 部屋を暗くし、ブラックライトを当てたウェルネ石の様子。
写真2は部屋を暗くして長波紫外線を当てたウェルネ石です。
写真1では白っぽい部分が黄色くなっていることが判ります。
これは蛍光と言われ、鉱物に紫外線を当てると一旦吸収された紫外線が、
余分なエネルギーとして放射され、光として見える現象です。
蛍光する鉱物は蛍光鉱物と呼ばれ、稀少というほどではないですが
それほど多くは有りません。ウェルネ石は黄色の蛍光を出す蛍光鉱物の1つです。
蛍光鉱物は実習などで良く使うのですが、このウェルネ石は手元にありませんでした。
買いたいと思っていたところ、とあるサイエンスショーで蛍光鉱物を展示していた博物館の方に、
東京ミネラルフェアにのみ出展するとある業者から安く買えるということを聞き、
買いに行くことになった、という訳です。
ウェルネ石は目的の1つでしたが、もちろん他にもたくさん買いました。
蛍光鉱物つながりではハックマン石(Hackmanite)という鉱物が有ります。
写真3 縦2cm、横3cmほどのハックマン石。右はブラックライトを当てた様子。
オレンジ色の蛍光が見られる。
写真3はハックマン石(青色部分)と長波紫外線を当てた様子です。
ハックマン石は硬度5.5、方ソーダ石の一種で、同じグループに
サファイアと似ていてサファイアより高い宝石の藍方石(hauyne/アウイン)、
ラピスラズリを構成する主鉱物である青金石(lazurite/ラズライト)などがあります。
このハックマン石も上記2つと同様に宝石として扱われていますが、
蛍光を発するという以外に、大変珍しい性質を持ちます。
それは変色するというもので、太陽光(紫外線)に当てると赤紫になります。
そしてしばらくすると少しずつ色が戻ります。
変色効果と言われるこの性質は、アレキサンドライトに代表されるように
光の当て方によって変色することがほとんどなのですが、
ハックマン石は石そのものの色が変化する稀有な鉱物です。
今回上記の標本を500円で手に入れたのですが、それほど大きくないとはいえ、
大変お買い得だったと思っています。
今回は蛍光鉱物の紹介ということで、次回は石英系を紹介いたします。
東京国際ミネラルフェア
雑談
これから5日間、ミネラルショーに行ってきます。
ちょうど良いことに、5日間掛けて開催される
東京国際ミネラルフェア、通称新宿ショーと、
土曜日一日だけですが飯田橋で開催される
ミネラルマーケットが日程重なりますので、2つ見てきます。
予算はあまり多くないものの、日本でも有数のミネラルショーなので
いろいろと掘り出し物があれば買ってきて、それ後日紹介したいと思います。
ちょうど良いことに、5日間掛けて開催される
東京国際ミネラルフェア、通称新宿ショーと、
土曜日一日だけですが飯田橋で開催される
ミネラルマーケットが日程重なりますので、2つ見てきます。
予算はあまり多くないものの、日本でも有数のミネラルショーなので
いろいろと掘り出し物があれば買ってきて、それ後日紹介したいと思います。
硬度/Hardness
雑談
過去の記事の中で時々モース硬度という単語を使っています。
非常に有名なので敢えて説明することもないのですが、
たまに自分でも忘れるので確認のために、硬度と対応する鉱物の和名、
英名、英名の日本語読みと化学組成式を記しておきます。
モース硬度1 滑石/Talc(タルク)Mg3Si4O10(OH)2
2 石膏/Gypsum(ジプサム)CaSO4·2H2O
3 方解石/Calcite(カルサイト)CaCO3
4 蛍石/Fluorite(フローライト)CaF2
5 燐灰石/Apatite(アパタイト)Ca5(PO4)3(F,Cl,OH)
6 正長石/Orthoclase(オーソクレース、オルソクレース)KAlSi3O8
7 石英/Quartz(クォーツ)SiO2
8 黄玉/Topaz(トパーズ、トパズ)Al2SiO4(F,OH)2
9 鋼玉/Corundum(コランダム)Al2O3
10 金剛石/Diamond(ダイヤモンド)C
英語の日本語読みには幾つかバリエーションがあるので、
ここに書いたものが必ず正しいというわけではありません。
ちなみに、過去の記事に出てきた黒曜石は硬度5、硫黄は2、
セレナイトは石膏の1種なので2、バラ輝石とパイロクスマンジャイトは6、
Cubeコレクションその一は2.5、金鉱物は約2.5、貴重かもしれない鉱物は1‐1.5です。
モース硬度は非常に有名ですが、硬さを測る尺度は1つではありません。
鉱物の硬さは大きく分けて、引っ掻き硬度と押し込み硬度の2種類あり、
それぞれに測定法が存在します。
モース硬度は引っ掻き硬度の一種であり、お互いに引っかき合い、
傷が付くかどうかを硬さの基準にしている相対的な尺度です。
また、良く知られていることですが、傷つき難さであって、壊れ難さではありません。
人間の爪は硬度2.5、鉄製のナイフが5.5とされており、鉱物を鑑定する目安となっています。
最近では10段階ではなく、15段階の新モース硬度なるものがあるようですが、
増えた5つが人工物のため、鉱物分野ではそのまま10段階のモース硬度を使っています。
もう一つの測定法である押し込み硬度とは、測定対象の一面に、一定の重さを持つ
重りを押し付け、出来た穴の大きさによって硬さを決める方法です。
前述したように幾つかあるのですが、鉱物分野では主にビッカース硬度、
まれにヌープ硬度などが使われるようです。
最も良く使われるビッカース硬度ですが、逆ピラミッド型のダイヤモンドを押し付けます。
詳しい式は省きますが簡単に言うと、重りの重さを出来た凹みの表面積で割った数値が
ビッカース硬度になります。式にすると以下のようになります。
ビッカース硬度=重さ/凹みの表面積
硬い鉱物ほど凹みが小さくなり、表面積も小さくなるので、
柔らかい鉱物は数値が低く、硬い鉱物は高くでます。
とはいえ、重りの乗せ方も10gを1秒押し付ける、100gを10秒押し付けるなど、
いろいろなやり方があるため、同じ鉱物でも必ず数値が一定になるわけではありません。
また、同じ鉱物でも不純物の有無や結晶度の違いによって硬さが異なり(金鉱物など)、
さらに1つの鉱物でも結晶の向きによって硬度が変わる(二硬石)など、
とにかく広い範囲の数値になります。
今後何かの機会にビッカースの硬度(他の硬度計もですが)を調べる時は、
荷重(重りの重さと、何秒押し付けたか)や結晶の向きを気にした方が良いかもしれません。
以下は、モース硬度とビッカース硬度の関係です。かなり古い論文ですが、
下記の文献を参考にしています。
Young, B. B., and Millman,A.P. (1964).
モース硬度 ビッカース硬度(荷重100g)
1 滑石/Talc 7-19*
2 石膏/Gypsum 35-48
3 方解石/Calcite 105-116
4 蛍石/Fluorite 174-203
5 燐灰石/Apatite 454-596
6 正長石/Orthoclase 642-933
7 石英/Quartz 1266-1561
8 黄玉/Topaz 1478-2012
9 鋼玉/Corundum 2097-2758
10 金剛石/Diamond 約9000**
* 荷重100gでは柔らかすぎて測定できないため、荷重15g
** 元の論文に記載なし。引用は幾つかのサイトから。
御覧の通り、ダイヤモンドだけずば抜けています。
さすがダイヤモンド、と言いたい所ですが、
実はダイヤモンドより硬い鉱物や人工物が有ります。
前者はロンズデーライト/Lonsdaleite、ウルツァイト型窒化ホウ素の2つ、
後者はハイパーダイヤモンドと呼ばれています。
人工物はあまり詳しくないので説明しませんが、
鉱物2つについては後々話題にしたいと思います。
非常に有名なので敢えて説明することもないのですが、
たまに自分でも忘れるので確認のために、硬度と対応する鉱物の和名、
英名、英名の日本語読みと化学組成式を記しておきます。
モース硬度1 滑石/Talc(タルク)Mg3Si4O10(OH)2
2 石膏/Gypsum(ジプサム)CaSO4·2H2O
3 方解石/Calcite(カルサイト)CaCO3
4 蛍石/Fluorite(フローライト)CaF2
5 燐灰石/Apatite(アパタイト)Ca5(PO4)3(F,Cl,OH)
6 正長石/Orthoclase(オーソクレース、オルソクレース)KAlSi3O8
7 石英/Quartz(クォーツ)SiO2
8 黄玉/Topaz(トパーズ、トパズ)Al2SiO4(F,OH)2
9 鋼玉/Corundum(コランダム)Al2O3
10 金剛石/Diamond(ダイヤモンド)C
英語の日本語読みには幾つかバリエーションがあるので、
ここに書いたものが必ず正しいというわけではありません。
ちなみに、過去の記事に出てきた黒曜石は硬度5、硫黄は2、
セレナイトは石膏の1種なので2、バラ輝石とパイロクスマンジャイトは6、
Cubeコレクションその一は2.5、金鉱物は約2.5、貴重かもしれない鉱物は1‐1.5です。
モース硬度は非常に有名ですが、硬さを測る尺度は1つではありません。
鉱物の硬さは大きく分けて、引っ掻き硬度と押し込み硬度の2種類あり、
それぞれに測定法が存在します。
モース硬度は引っ掻き硬度の一種であり、お互いに引っかき合い、
傷が付くかどうかを硬さの基準にしている相対的な尺度です。
また、良く知られていることですが、傷つき難さであって、壊れ難さではありません。
人間の爪は硬度2.5、鉄製のナイフが5.5とされており、鉱物を鑑定する目安となっています。
最近では10段階ではなく、15段階の新モース硬度なるものがあるようですが、
増えた5つが人工物のため、鉱物分野ではそのまま10段階のモース硬度を使っています。
もう一つの測定法である押し込み硬度とは、測定対象の一面に、一定の重さを持つ
重りを押し付け、出来た穴の大きさによって硬さを決める方法です。
前述したように幾つかあるのですが、鉱物分野では主にビッカース硬度、
まれにヌープ硬度などが使われるようです。
最も良く使われるビッカース硬度ですが、逆ピラミッド型のダイヤモンドを押し付けます。
詳しい式は省きますが簡単に言うと、重りの重さを出来た凹みの表面積で割った数値が
ビッカース硬度になります。式にすると以下のようになります。
ビッカース硬度=重さ/凹みの表面積
硬い鉱物ほど凹みが小さくなり、表面積も小さくなるので、
柔らかい鉱物は数値が低く、硬い鉱物は高くでます。
とはいえ、重りの乗せ方も10gを1秒押し付ける、100gを10秒押し付けるなど、
いろいろなやり方があるため、同じ鉱物でも必ず数値が一定になるわけではありません。
また、同じ鉱物でも不純物の有無や結晶度の違いによって硬さが異なり(金鉱物など)、
さらに1つの鉱物でも結晶の向きによって硬度が変わる(二硬石)など、
とにかく広い範囲の数値になります。
今後何かの機会にビッカースの硬度(他の硬度計もですが)を調べる時は、
荷重(重りの重さと、何秒押し付けたか)や結晶の向きを気にした方が良いかもしれません。
以下は、モース硬度とビッカース硬度の関係です。かなり古い論文ですが、
下記の文献を参考にしています。
Young, B. B., and Millman,A.P. (1964).
Microhardness and deformation characteristics of ore minerals.
Trans. Inst. Min. Metall. 73,437-466.
モース硬度 ビッカース硬度(荷重100g)
1 滑石/Talc 7-19*
2 石膏/Gypsum 35-48
3 方解石/Calcite 105-116
4 蛍石/Fluorite 174-203
5 燐灰石/Apatite 454-596
6 正長石/Orthoclase 642-933
7 石英/Quartz 1266-1561
8 黄玉/Topaz 1478-2012
9 鋼玉/Corundum 2097-2758
10 金剛石/Diamond 約9000**
* 荷重100gでは柔らかすぎて測定できないため、荷重15g
** 元の論文に記載なし。引用は幾つかのサイトから。
御覧の通り、ダイヤモンドだけずば抜けています。
さすがダイヤモンド、と言いたい所ですが、
実はダイヤモンドより硬い鉱物や人工物が有ります。
前者はロンズデーライト/Lonsdaleite、ウルツァイト型窒化ホウ素の2つ、
後者はハイパーダイヤモンドと呼ばれています。
人工物はあまり詳しくないので説明しませんが、
鉱物2つについては後々話題にしたいと思います。
何事にも例外はあります
雑談
どんな石でも磨けば光ると謳ってはいるものの、例外はあります。
どう磨いても光らないという鉱物、そして、そもそも磨きにくいという鉱物がそれに当たります。
今日は後者の、磨きにくい鉱物を1つ紹介します。
写真1 軽石の表面に付着する自然硫黄。縦7㎝、横10㎝。
写真1は自然硫黄です。元素の1つですが、れっきとした鉱物です。
硫黄は、現在ほとんどが石油精製の副産物として生産されるようですが、
かつては鉱山から採集していました。
鉱山と言っても、他の鉱石のように地下を掘っていくような形ではなく、
火山の火口付近に析出した硫黄や黄鉄鉱を露店掘りしていたようです。
写真1,2の硫黄は、例によって捨てられる運命にあった物を拾ったのですが、
当然ながら産地不明です。軽石の表面に結晶化している様子から、
硫黄鉱床があった火山か、その近くで産出されたものと思われます。
写真2 若干結晶の形が見える自然硫黄。写真1と同じ産地と思われる。
鉱物としての硫黄はモース硬度2と非常に柔らかく、
ぼろぼろと崩れやすいため、研磨が非常に困難です。
結晶度が高い、綺麗な物であれば可能性はありますが、残念ながら手元にありません。
ネットで画像検索してみると綺麗な結晶を見ることが出来ますが、
磨いて楽しむよりも、見て楽しんだ方が良い鉱物のようです。
しかし手が全く無いというわけではないですし、
どんな石でも磨けば光るはずというのがコンセプトですので、
いつか結晶を手に入れたとき、挑戦してみたいと思います。
どう磨いても光らないという鉱物、そして、そもそも磨きにくいという鉱物がそれに当たります。
今日は後者の、磨きにくい鉱物を1つ紹介します。
写真1 軽石の表面に付着する自然硫黄。縦7㎝、横10㎝。
写真1は自然硫黄です。元素の1つですが、れっきとした鉱物です。
硫黄は、現在ほとんどが石油精製の副産物として生産されるようですが、
かつては鉱山から採集していました。
鉱山と言っても、他の鉱石のように地下を掘っていくような形ではなく、
火山の火口付近に析出した硫黄や黄鉄鉱を露店掘りしていたようです。
写真1,2の硫黄は、例によって捨てられる運命にあった物を拾ったのですが、
当然ながら産地不明です。軽石の表面に結晶化している様子から、
硫黄鉱床があった火山か、その近くで産出されたものと思われます。
写真2 若干結晶の形が見える自然硫黄。写真1と同じ産地と思われる。
鉱物としての硫黄はモース硬度2と非常に柔らかく、
ぼろぼろと崩れやすいため、研磨が非常に困難です。
結晶度が高い、綺麗な物であれば可能性はありますが、残念ながら手元にありません。
ネットで画像検索してみると綺麗な結晶を見ることが出来ますが、
磨いて楽しむよりも、見て楽しんだ方が良い鉱物のようです。
しかし手が全く無いというわけではないですし、
どんな石でも磨けば光るはずというのがコンセプトですので、
いつか結晶を手に入れたとき、挑戦してみたいと思います。
プロフィール
HN:
heliodor
性別:
男性
趣味:
石磨き他
自己紹介:
岩石・鉱物学を修めています。
研究とは別に、自ら採取したもの、買った物、廃棄物からの取得物を用い、石を磨いています。
研究とは別に、自ら採取したもの、買った物、廃棄物からの取得物を用い、石を磨いています。
P R