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どんな石でも磨けば光る

綺麗な石も普通の石も磨いてみます

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薄片について

以前、薄片と研磨片というタイトルでいろいろと説明しましたが、
言葉だけでは想像しにくいと思いますので、実物をお見せしながら改めて説明します。

薄片とは主に観察・分析用に、岩石を薄く加工してスライドガラスに貼り付けたものです。
観察とは、岩石用顕微鏡を用いて、岩石を構成する鉱物を鑑定することをメイン目的とします。
鉱物の種類や様子を観察することで、岩石の種類、その生成条件などを推測することが出来ます。
分析とは、概ね組成分析のことです。岩石全体の化学組成を分析したり、
鉱物1つ1つの化学組成を分析したりします。

一般的には厚さ0.03mmです。髪の毛が0.05~0.1mm、普通のコピー用紙で
0.09mmらしいですが、どのくらいの厚さか想像が付くでしょうか?



写真1 縦2㎝、横3㎝、厚さ1㎝ほどの岩石切片。


薄片の作り方としては、
はじめに、写真1のようにある程度の大きさの岩石切片を作ります。
次に、面の1つを適度に磨き上げ、スライドガラスに樹脂で接着します。
接着したら、そのまま厚さ1mm程になるようにカットし、
そこから上記の厚さまで薄くしていきます。

この一連の作業は、普通学部生の時から習い始めますが、
巧く出来るようになるには何年も練習が必要になる、職人技です。
岩石カッターや、研磨盤など、ちょっとご家庭では揃えるのが難しい道具を使います。
そのうちこれらの道具も紹介しつつ、より詳しい製作工程を掲載したいと思います。



写真2 写真1に挙げた岩石を使った薄片の完成品。


写真2が実際の薄片です。切片の状態ではただの黒い塊でしたが、
薄片にすると所々透明になっているところが見てとれます。
透明になっていない黒っぽい部分も、顕微鏡下で見ると、
ほとんどが透明になっています。この薄片を、偏光顕微鏡と言われる
少し特殊な顕微鏡を使って、観察します。



写真3 写真2の薄片を顕微鏡下で観察した様子。Qtz:Quartz(石英),
    Pl:Plagioclase(斜長石),Hbl:Hornblende(普通角閃石),
    Bt:Biotite(黒雲母)


実際に薄片を顕微鏡で見ると、写真3のように見えます。
左は、偏光板と呼ばれるフィルターを1枚通して見た様子、
右は、フィルターを2枚通して見た様子です。
この偏光板を通すことで、それぞれの鉱物が持つ光学的な性質、
例えば色、形、光の屈折率などを観察することができ、
肉眼で見ても判らない鉱物を同定することが出来ます。

薄片は、光を通す鉱物で無ければあまり作る意味がありません。
光を通さない鉱物、例えば金属鉱物などは、別の方法で観察します。
そちらはまた後日、紹介したいと思います。
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プロフィール
HN:
heliodor
性別:
男性
趣味:
石磨き他
自己紹介:
岩石・鉱物学を修めています。
研究とは別に、自ら採取したもの、買った物、廃棄物からの取得物を用い、石を磨いています。
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