戦利品紹介10
雑談
最近スーパーなどでメロンやスイカ、桃が果物売り場の主役になってきました。
桃は好物ですが旬の季節が短いので、安いうちに目一杯食べたいと思います。
具体的には毎日一個以上。糖尿病とか大丈夫でしょうか?若干心配です。
一か月半に及ぶミネラルショーで獲得した鉱物の紹介は、今回で最後となります。
いままでそれなりに分類された鉱物を紹介してきましたが、
最後はどこにも分類できなかった2つが残りました。
写真1 青味掛かった重晶石。縦1㎝、横3~4mm。板状の形をしている。
写真1は重晶石、英語ではbarite(バライト)です。
モース硬度は3~3.5、斜方晶系に属し、化学組成はBaSO4です。
熱水鉱床に良く見られ、特に黒鉱鉱床に多く産出します。
化学成分を見て分かるように、硫酸バリウムであり、胃カメラの時に飲む医薬品と同じ成分です。
バリウムの主な鉱石としてほぼ全て中国から輸入しています。
(参照:http://mric.jogmec.go.jp/public/report/2011-07/Ba.pdf)
本来無色透明ですが、CaやSrなどの不純物により色付くことがあります。
写真の重晶石もSrか何かの不純物により青味掛かって見えると思われます。
まとめて買ったので正確な値段は覚えていませんが、500円から1000円の間で
購入したのは間違いありません。飯田橋のショーで手に入れました。
写真2 シュンガ石。縦2㎝、横3㎝、厚さ2㎝程。
最後に紹介するのはシュンガ石という謎の鉱物です。英語ではshungite(シュンガイト)と書きます。
フラーレンの鉱物として展示されていたので、物珍しさで購入しました。
フラーレンというのは、ご存じのとおりC60が化学式の、サッカーボールのような炭素のみで出来た物質です。
新宿ショーにて500円でした。
パワーストーンとして有名らしく、ヒーリング効果や活性酸素の無害化など、ネット上にはかなりの情報があります。
それにも拘わらず謎の鉱物と書いたのは、鉱物としてのデータがほとんどないからです。
簡単な情報はいつもWikipediaを、詳しい情報を確認する時はMindat.orgというサイトを利用しているのですが、
この鉱物に関してはWikipediaがなく、Mindat.orgの方に少し載っているくらいでした。
念のため、鉱物種を学術的に決めている世界的機関であるInternational Mineral Associationというサイトで確認してみた所、
やはり鉱物種としては認められていないようです。
フラーレンで出来ているというのも誇大な売り文句で、実際はフラーレンが含まれる事もある、
非結晶質または結晶度が低い炭素ということらしいです。
実際にレーザー光を用いた分光分析で確認しましたが、非常に結晶度の低いグラファイトのような物でした。
とはいえ、今の所産出地が少ないため、希少ではあるようです。
この鉱物は、物珍しさもありましたが、フラーレンというのが本当なら上述の分析機器の
標準物質として使用しようと考えていました。
実際にはフラーレンではなかったので、趣味の研磨の方に回したいと思います。
グラファイトと同じだと思いますが、ほぼ炭素のみの物質が、磨かれたらどうなるか
そのうち、お見せしたいと思います。
ラストが実は鉱物ではない、というのは締まらない話ですが、
これでほぼ全ての鉱物を紹介いたしました。総額約25000円。
ミネラルショーに行くとき、特に初めての方は値段が適正かどうか判らないと思います。
そんな方のため、どのようなサイズの鉱物をどんな値段で買ったのか、多少の参考になるようにと記載しました。
もし機会があれば是非参考にして頂きたいと思う一方で、あくまで参考だということも忘れないで頂きたいです。
鉱物には相場がありますが、常に変動しています。以前と値段が同じとは限らないのです。
値段交渉も楽しみ方の1つですが、初めての方は、まずは見て楽しむことから始めて頂きたいです。
より多くの方が鉱物に触れることが出来るよう、これからもこのような紹介をしていきたいと思います。
桃は好物ですが旬の季節が短いので、安いうちに目一杯食べたいと思います。
具体的には毎日一個以上。糖尿病とか大丈夫でしょうか?若干心配です。
一か月半に及ぶミネラルショーで獲得した鉱物の紹介は、今回で最後となります。
いままでそれなりに分類された鉱物を紹介してきましたが、
最後はどこにも分類できなかった2つが残りました。
写真1 青味掛かった重晶石。縦1㎝、横3~4mm。板状の形をしている。
写真1は重晶石、英語ではbarite(バライト)です。
モース硬度は3~3.5、斜方晶系に属し、化学組成はBaSO4です。
熱水鉱床に良く見られ、特に黒鉱鉱床に多く産出します。
化学成分を見て分かるように、硫酸バリウムであり、胃カメラの時に飲む医薬品と同じ成分です。
バリウムの主な鉱石としてほぼ全て中国から輸入しています。
(参照:http://mric.jogmec.go.jp/public/report/2011-07/Ba.pdf)
本来無色透明ですが、CaやSrなどの不純物により色付くことがあります。
写真の重晶石もSrか何かの不純物により青味掛かって見えると思われます。
まとめて買ったので正確な値段は覚えていませんが、500円から1000円の間で
購入したのは間違いありません。飯田橋のショーで手に入れました。
写真2 シュンガ石。縦2㎝、横3㎝、厚さ2㎝程。
最後に紹介するのはシュンガ石という謎の鉱物です。英語ではshungite(シュンガイト)と書きます。
フラーレンの鉱物として展示されていたので、物珍しさで購入しました。
フラーレンというのは、ご存じのとおりC60が化学式の、サッカーボールのような炭素のみで出来た物質です。
新宿ショーにて500円でした。
パワーストーンとして有名らしく、ヒーリング効果や活性酸素の無害化など、ネット上にはかなりの情報があります。
それにも拘わらず謎の鉱物と書いたのは、鉱物としてのデータがほとんどないからです。
簡単な情報はいつもWikipediaを、詳しい情報を確認する時はMindat.orgというサイトを利用しているのですが、
この鉱物に関してはWikipediaがなく、Mindat.orgの方に少し載っているくらいでした。
念のため、鉱物種を学術的に決めている世界的機関であるInternational Mineral Associationというサイトで確認してみた所、
やはり鉱物種としては認められていないようです。
フラーレンで出来ているというのも誇大な売り文句で、実際はフラーレンが含まれる事もある、
非結晶質または結晶度が低い炭素ということらしいです。
実際にレーザー光を用いた分光分析で確認しましたが、非常に結晶度の低いグラファイトのような物でした。
とはいえ、今の所産出地が少ないため、希少ではあるようです。
この鉱物は、物珍しさもありましたが、フラーレンというのが本当なら上述の分析機器の
標準物質として使用しようと考えていました。
実際にはフラーレンではなかったので、趣味の研磨の方に回したいと思います。
グラファイトと同じだと思いますが、ほぼ炭素のみの物質が、磨かれたらどうなるか
そのうち、お見せしたいと思います。
ラストが実は鉱物ではない、というのは締まらない話ですが、
これでほぼ全ての鉱物を紹介いたしました。総額約25000円。
ミネラルショーに行くとき、特に初めての方は値段が適正かどうか判らないと思います。
そんな方のため、どのようなサイズの鉱物をどんな値段で買ったのか、多少の参考になるようにと記載しました。
もし機会があれば是非参考にして頂きたいと思う一方で、あくまで参考だということも忘れないで頂きたいです。
鉱物には相場がありますが、常に変動しています。以前と値段が同じとは限らないのです。
値段交渉も楽しみ方の1つですが、初めての方は、まずは見て楽しむことから始めて頂きたいです。
より多くの方が鉱物に触れることが出来るよう、これからもこのような紹介をしていきたいと思います。
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戦利品紹介9
雑談
昔に比べると高性能のパソコンに慣れると、少し動作が遅くなったくらいで
非常に不愉快に感じてしまいます。何が言いたいかと言うと、ウィルス対策ソフト、
勝手に検索を始めないで下さい。手動でしますから。
今日は、もう成分で分類できなくなったので、緑色の鉱物ということで、紹介いたします。
宝石のエメラルドやペリドットを筆頭に、緑色の鉱物というのは古来より人気が高く、
高価な物から安価の物まで幅広く売られています。目に優しい、なんて理由ではないと思いますが、
緑色の鉱物は比較的少ないことから、希少価値があるということだと思います。
今日お見せする鉱物も、3つの内2つは人気があり、ミネラルショーに行かずとも
街の鉱物系アクセサリーショップに必ず売っています。
写真1 一辺1.5㎝ほどの孔雀石。
最初に紹介するのは孔雀石です。英語ではmalachite(マラカイト)と言います。
遥か古代から装飾用や顔料として使われる由緒正しい鉱物の1つです。
鉱物学的には炭酸塩鉱物に分類され、化学組成はCu2(CO3)(OH)2、
単斜晶系に属し、モース硬度は3.5~4です。
見ての通り濃い緑色をしており宝石にも使われますが、銅の錆である緑青と同じ成分です。
銅の鉱山や銅が多い地域に産出し、日本でも見られます。
写真の孔雀石は新宿ショーにて、500円で購入しました。
この大きさでこの値段が高いか安いか良く判りませんが、本職の方は、
このようなものをカットして磨いて宝石として売るのだと思います。
本職ではないアマチュアはどうカットしてどう磨いたら綺麗になるかなど考えず、
適当に磨いてみたいと思います。
写真2 1パック500円の蛍石。平均して、一辺1.5㎝ほどの蛍石が20個弱入っている。
次はお馴染み蛍石です。英語ではfluorite(フローライト)と言い、
モースの硬度計の4に位置します。化学組成はCaF2と単純で、フッ化カルシウムの結晶です。
時に東急ハンズや書店でも売っていることのある鉱物ですが、大抵正八面体の形をしています。
これは等軸晶系という結晶系に属している鉱物が取りやすい形の一つです。
ただし、天然で正八面体のまま出てくるわけではありません。
普通はサイコロのような立方体が一般的であり、劈開(結晶の割れ目)に沿って
割ると八面体になるようです。
蛍石にはもう一つ重要な特徴があります。名前の由来でもある蛍光です。
ここでの蛍光というのは紫外線を当てると発光するという現象です。
近年、理科教育の教材として、蛍石を含めた蛍光鉱物がキットになっていたり、
見た感じの美しさからディスプレイの1つとして用いられることが増えているようです。
蛍石の場合、おおむね紫色に発光します。
ただし、全ての蛍石が発光するわけではありません。不純物の種類と量によります。
美しい正八面体や立方体の形、幻想的な蛍光など観賞用として非常に優れた鉱物ですが、
熱水鉱床やペグマタイトに良く産出し、それほど希少でもないため、安く手に入れることが出来ます。
写真のように結晶の形が綺麗でなければ1パックで500円、1個あたりにすると数十円で買えてしまいます。
これは新宿ショーでお土産用に購入しましたが、わざわざミネラルショーに行かなくても手に入れられることでしょう。
たいてい結晶自体が美しい形をしていることや、モース硬度4と柔らかいことなどから、
あまり研磨には向かない鉱物ですが、いずれ別の蛍石で磨いた物をお見せしたいと思います。
写真3 長方形の板状に研磨されたヨハンセン輝石。縦2㎝、横4㎝、厚さ5mm。
本日最後の緑鉱物です。前2つと違って、馴染みが無いかと思います。
原石ではなくカット、研磨をされていますが、ヨハンセン輝石という鉱物です。
単斜輝石というのは単斜晶系の輝石という意味で、属する結晶系を表しています。
モース硬度は6~6.5で、化学組成はCaMnSi2O6です。
輝石族はXYSi2O6で定義されており、XにはNaやMg、Ca、Fe、Liなどが、
YにはMg、Fe、Al、Cr、Mnなどが入ります。また、一部Siの所がAlと変わることが有ります。
ヨハンセン輝石はCaとMnがXYに入り、スカルン鉱床、熱水鉱床などでCaやMnの鉱物と一緒に産出します。
この鉱物は飯田橋のショーにて500円で購入しましたが、
写真の通り既に加工されてますので、これ以上研磨することはありません。
では何故手に入れたかと言うと、簡単に言えば比較のためです。
普段よりX線やレーザー光を用いた鉱物の同定や分析を行ったりしているのですが、
それらの分析機器でこのヨハンセン輝石を測定し、今後の参考に致します。
いつも研磨研磨と言っていますが、たまには仕事にも使うのです。
次でようやくラストになります。
非常に不愉快に感じてしまいます。何が言いたいかと言うと、ウィルス対策ソフト、
勝手に検索を始めないで下さい。手動でしますから。
今日は、もう成分で分類できなくなったので、緑色の鉱物ということで、紹介いたします。
宝石のエメラルドやペリドットを筆頭に、緑色の鉱物というのは古来より人気が高く、
高価な物から安価の物まで幅広く売られています。目に優しい、なんて理由ではないと思いますが、
緑色の鉱物は比較的少ないことから、希少価値があるということだと思います。
今日お見せする鉱物も、3つの内2つは人気があり、ミネラルショーに行かずとも
街の鉱物系アクセサリーショップに必ず売っています。
写真1 一辺1.5㎝ほどの孔雀石。
最初に紹介するのは孔雀石です。英語ではmalachite(マラカイト)と言います。
遥か古代から装飾用や顔料として使われる由緒正しい鉱物の1つです。
鉱物学的には炭酸塩鉱物に分類され、化学組成はCu2(CO3)(OH)2、
単斜晶系に属し、モース硬度は3.5~4です。
見ての通り濃い緑色をしており宝石にも使われますが、銅の錆である緑青と同じ成分です。
銅の鉱山や銅が多い地域に産出し、日本でも見られます。
写真の孔雀石は新宿ショーにて、500円で購入しました。
この大きさでこの値段が高いか安いか良く判りませんが、本職の方は、
このようなものをカットして磨いて宝石として売るのだと思います。
本職ではないアマチュアはどうカットしてどう磨いたら綺麗になるかなど考えず、
適当に磨いてみたいと思います。
写真2 1パック500円の蛍石。平均して、一辺1.5㎝ほどの蛍石が20個弱入っている。
次はお馴染み蛍石です。英語ではfluorite(フローライト)と言い、
モースの硬度計の4に位置します。化学組成はCaF2と単純で、フッ化カルシウムの結晶です。
時に東急ハンズや書店でも売っていることのある鉱物ですが、大抵正八面体の形をしています。
これは等軸晶系という結晶系に属している鉱物が取りやすい形の一つです。
ただし、天然で正八面体のまま出てくるわけではありません。
普通はサイコロのような立方体が一般的であり、劈開(結晶の割れ目)に沿って
割ると八面体になるようです。
蛍石にはもう一つ重要な特徴があります。名前の由来でもある蛍光です。
ここでの蛍光というのは紫外線を当てると発光するという現象です。
近年、理科教育の教材として、蛍石を含めた蛍光鉱物がキットになっていたり、
見た感じの美しさからディスプレイの1つとして用いられることが増えているようです。
蛍石の場合、おおむね紫色に発光します。
ただし、全ての蛍石が発光するわけではありません。不純物の種類と量によります。
美しい正八面体や立方体の形、幻想的な蛍光など観賞用として非常に優れた鉱物ですが、
熱水鉱床やペグマタイトに良く産出し、それほど希少でもないため、安く手に入れることが出来ます。
写真のように結晶の形が綺麗でなければ1パックで500円、1個あたりにすると数十円で買えてしまいます。
これは新宿ショーでお土産用に購入しましたが、わざわざミネラルショーに行かなくても手に入れられることでしょう。
たいてい結晶自体が美しい形をしていることや、モース硬度4と柔らかいことなどから、
あまり研磨には向かない鉱物ですが、いずれ別の蛍石で磨いた物をお見せしたいと思います。
写真3 長方形の板状に研磨されたヨハンセン輝石。縦2㎝、横4㎝、厚さ5mm。
本日最後の緑鉱物です。前2つと違って、馴染みが無いかと思います。
原石ではなくカット、研磨をされていますが、ヨハンセン輝石という鉱物です。
英語ではJohannsenite、ヨハンセナイトと言います。
アメリカの岩石学者であるアルバート・ヨハンセンに因んだ名のようです。
名前の通り輝石族の1種で、さらに単斜輝石のサブグループに属しています。アメリカの岩石学者であるアルバート・ヨハンセンに因んだ名のようです。
単斜輝石というのは単斜晶系の輝石という意味で、属する結晶系を表しています。
モース硬度は6~6.5で、化学組成はCaMnSi2O6です。
輝石族はXYSi2O6で定義されており、XにはNaやMg、Ca、Fe、Liなどが、
YにはMg、Fe、Al、Cr、Mnなどが入ります。また、一部Siの所がAlと変わることが有ります。
ヨハンセン輝石はCaとMnがXYに入り、スカルン鉱床、熱水鉱床などでCaやMnの鉱物と一緒に産出します。
この鉱物は飯田橋のショーにて500円で購入しましたが、
写真の通り既に加工されてますので、これ以上研磨することはありません。
では何故手に入れたかと言うと、簡単に言えば比較のためです。
普段よりX線やレーザー光を用いた鉱物の同定や分析を行ったりしているのですが、
それらの分析機器でこのヨハンセン輝石を測定し、今後の参考に致します。
いつも研磨研磨と言っていますが、たまには仕事にも使うのです。
次でようやくラストになります。
戦利品紹介8
雑談
ここの所、晴れた日は毎日のように大学構内でバーベキューやジンギスカンパーティが行われ、
辺り一面に良い匂いが充満します。集中を要する作業をしている時は勘弁して欲しいです。
今日はアルミを含むケイ酸塩鉱物を紹介します。
変な言い方ではありますが、アルミノケイ酸塩とは別です。
アルミノケイ酸塩はケイ酸であるSiO2のSIを、一部Alに置き換えた鉱物です。
沸石や粘土鉱物、長石などがそれにあたりますが、今日お見せする鉱物3つの内、
アルミノケイ酸塩は長石だけのため、上記のような言い回しをしました。
長石以外はただ単に、Alを含むケイ酸塩です。
写真1 グリーンムーンストーンの原石。縦横高さ、それぞれ約1.5㎝。
写真1はムーンストーンです。日本語では月長石と言い、長石の一種です。
正式な鉱物名ではなく通称ではありますが、宝石としても原石としても人気が高く、
ミネラルショーなどの場には必ず陳列しています。
これは、新宿ショーにて500円で購入しました。
長石は地殻中に最も多く存在する鉱物で、ほとんどの岩石に含まれています。
モース硬度6で、化学組成は(Na,K,Ca)(Si,Al)4O8と表します。
NaやK、Caの所にBaやSr、アンモニウム(NH4)が入ることがあります。
通常、Na-K系のアルカリ長石と、Na-Ca系の斜長石に分けられます。
成分が連続的に変化するため、結晶系も変化し、三斜晶系、単斜晶系、
斜方晶系の3つの結晶系を取ります。
ムーンストーンは化学組成で見るとNa-K系のアルカリ長石に分類され、
単斜晶系と三斜晶系の2つの結晶系に属します。
ムーンストーンに特有な色はシラー効果と呼ばれ、鉱物の層と層の間で
反射した光によるものだとされています。
宝石としてはインドやスリランカ産が有名ですが、比較的多くの国で産出します。
写真のムーンストーンはやや緑がかっているためグリーンムーンストーンと名付けられていました。
手ごろな大きさで研磨しやすいのですが、形を生かしてサイコロにするか、
ムーンストーンらしくカボションのようにするか、迷っています。
写真2 灰鉄ザクロ石。縦6~7㎝、横7~8㎝、高さ5㎝。
写真2は灰鉄ザクロ石で、英語ではAndradite(アンドラダイト)と言います。
飯田橋のショーにて購入し、握り拳ほどの大きさで、500円でした。
和名の通り、ザクロ石の1種で、CaとFeを含んでいます。
和名は結構便利で、成分を表しています。つまり、灰はCaのことで、鉄はそのままです。
実はAlを含んでいない事に今気づきましたが、ザクロ石は一般的にAlを含むことが多く、
固定観念がありました。ザクロ石グループはほとんどが等軸晶系に属し、モース硬度は7前後の事が多いです。
化学組成はA3B2Si4O12と表され、Aの部分には二価の陽イオンが、Bの部分には三価の陽イオンが入ります。
灰鉄ザクロ石は上述の通り、AにCa、BにFeが入ります。
Caを含むザクロ石は他にもいくつかありますが、概ねスカルンと呼ばれる変成岩中に産出します。
写真2のように褐色や抹茶色の結晶が多いですが、稀に綺麗な緑や黄緑色を示す物があり、
デマントイドという名で高価な宝石として売られています。
写真2はかなり大きな標本ですが、灰鉄ザクロ石の結晶自体は小さいので研磨に向きません。
ぼろぼろと崩れる可能性があるためです。研磨するなら樹脂で固めてからになりますが、
観賞用として置いておくか、機会を見つけてカットした上で研磨するかは、決めていません。
写真3 菫青石。縦2.5㎝、横4㎝、厚さ1㎝。右は光を通して見たもの。
最後は菫青石です。英語ではcordierite(コーディエライト)と言い、
アイオライトと言う名で宝石として売られています。
鉱物学的には、菫青石は斜方晶系に属し、モース硬度は7~7.5、
化学組成はMg2Al4Si5O18で、Alの多い変成岩によく見られます。
結晶の向きによる色の変化が非常に強く、二色の石という意味の
ダイクロアイトという別名が付いています。
普通は、和名の通り菫色から青色を呈します。
スリランカやインドに多く産し、何回かその地域に調査に行ったことがあるので、
実は手元に研究用試料がたくさんあります。しかし、写真のようなサイズの結晶はそうありません。
写真のものは平べったく磨きやすいと思ったため、1000円くらいで手に入れました。
新宿ショーでの購入です。
いずれライトを当てなくても光が通るように薄くし、両面を磨いて板状にし、
アクセサリーっぽくしてみたいと思います。
次回は緑の鉱物をお見せします。
辺り一面に良い匂いが充満します。集中を要する作業をしている時は勘弁して欲しいです。
今日はアルミを含むケイ酸塩鉱物を紹介します。
変な言い方ではありますが、アルミノケイ酸塩とは別です。
アルミノケイ酸塩はケイ酸であるSiO2のSIを、一部Alに置き換えた鉱物です。
沸石や粘土鉱物、長石などがそれにあたりますが、今日お見せする鉱物3つの内、
アルミノケイ酸塩は長石だけのため、上記のような言い回しをしました。
長石以外はただ単に、Alを含むケイ酸塩です。
写真1 グリーンムーンストーンの原石。縦横高さ、それぞれ約1.5㎝。
写真1はムーンストーンです。日本語では月長石と言い、長石の一種です。
正式な鉱物名ではなく通称ではありますが、宝石としても原石としても人気が高く、
ミネラルショーなどの場には必ず陳列しています。
これは、新宿ショーにて500円で購入しました。
長石は地殻中に最も多く存在する鉱物で、ほとんどの岩石に含まれています。
モース硬度6で、化学組成は(Na,K,Ca)(Si,Al)4O8と表します。
NaやK、Caの所にBaやSr、アンモニウム(NH4)が入ることがあります。
通常、Na-K系のアルカリ長石と、Na-Ca系の斜長石に分けられます。
成分が連続的に変化するため、結晶系も変化し、三斜晶系、単斜晶系、
斜方晶系の3つの結晶系を取ります。
ムーンストーンは化学組成で見るとNa-K系のアルカリ長石に分類され、
単斜晶系と三斜晶系の2つの結晶系に属します。
ムーンストーンに特有な色はシラー効果と呼ばれ、鉱物の層と層の間で
反射した光によるものだとされています。
宝石としてはインドやスリランカ産が有名ですが、比較的多くの国で産出します。
写真のムーンストーンはやや緑がかっているためグリーンムーンストーンと名付けられていました。
手ごろな大きさで研磨しやすいのですが、形を生かしてサイコロにするか、
ムーンストーンらしくカボションのようにするか、迷っています。
写真2 灰鉄ザクロ石。縦6~7㎝、横7~8㎝、高さ5㎝。
写真2は灰鉄ザクロ石で、英語ではAndradite(アンドラダイト)と言います。
飯田橋のショーにて購入し、握り拳ほどの大きさで、500円でした。
和名の通り、ザクロ石の1種で、CaとFeを含んでいます。
和名は結構便利で、成分を表しています。つまり、灰はCaのことで、鉄はそのままです。
実はAlを含んでいない事に今気づきましたが、ザクロ石は一般的にAlを含むことが多く、
固定観念がありました。ザクロ石グループはほとんどが等軸晶系に属し、モース硬度は7前後の事が多いです。
化学組成はA3B2Si4O12と表され、Aの部分には二価の陽イオンが、Bの部分には三価の陽イオンが入ります。
灰鉄ザクロ石は上述の通り、AにCa、BにFeが入ります。
Caを含むザクロ石は他にもいくつかありますが、概ねスカルンと呼ばれる変成岩中に産出します。
写真2のように褐色や抹茶色の結晶が多いですが、稀に綺麗な緑や黄緑色を示す物があり、
デマントイドという名で高価な宝石として売られています。
写真2はかなり大きな標本ですが、灰鉄ザクロ石の結晶自体は小さいので研磨に向きません。
ぼろぼろと崩れる可能性があるためです。研磨するなら樹脂で固めてからになりますが、
観賞用として置いておくか、機会を見つけてカットした上で研磨するかは、決めていません。
写真3 菫青石。縦2.5㎝、横4㎝、厚さ1㎝。右は光を通して見たもの。
最後は菫青石です。英語ではcordierite(コーディエライト)と言い、
アイオライトと言う名で宝石として売られています。
鉱物学的には、菫青石は斜方晶系に属し、モース硬度は7~7.5、
化学組成はMg2Al4Si5O18で、Alの多い変成岩によく見られます。
結晶の向きによる色の変化が非常に強く、二色の石という意味の
ダイクロアイトという別名が付いています。
普通は、和名の通り菫色から青色を呈します。
スリランカやインドに多く産し、何回かその地域に調査に行ったことがあるので、
実は手元に研究用試料がたくさんあります。しかし、写真のようなサイズの結晶はそうありません。
写真のものは平べったく磨きやすいと思ったため、1000円くらいで手に入れました。
新宿ショーでの購入です。
いずれライトを当てなくても光が通るように薄くし、両面を磨いて板状にし、
アクセサリーっぽくしてみたいと思います。
次回は緑の鉱物をお見せします。
戦利品紹介7
雑談
ミネラルショーに行ってから実に一か月以上も経っているのですが、
未だに手に入れた鉱物の紹介が終わっていません。
早くしないと次のミネラルショーが迫っています。
前回の予告通り、今日は水酸化鉱物です。
水酸化鉱物と言っても今日紹介する3つの鉱物は、分類上はケイ酸塩にあたり、
組成にOHが含まれるので水酸化鉱物と呼んでいます。
ケイ酸塩ではない水酸化鉱物もあり、そちらは独立したグループとして分類されています。
まずは、水酸基のついたケイ酸塩としては最も知名度が高そうなトパーズから紹介致します。

写真1 トパーズの原石。縦3㎝、横5㎝、厚さ2.5㎝。
写真を見て、これが?と思われた方がいるかもしれませんが、
お店の方が間違えてないなら、トパーズです。
飯田橋の方のミネラルショーで、1000円でした。
日本名を黄玉、斜方晶系に属し、モース硬度で8、Al2SiO4(OH,F)という化学組成です。
トパーズという名の語源がギリシャ語やサンスクリッド語にあるそうですが、
意外にもそのくらい古くから認識されていたということになります。
現在はペリドットと呼ばれる宝石が、古い時代にトパーズと言われた、と
Mindat、RRUFFなどのサイトに書かれていましたが、信憑性のほどは判りません。
ペグマタイトや高温の石英脈の中、花崗岩や流紋岩の中にも産出するそうです。
宝石としては、オレンジ色のインペリアルトパーズや青のブルートパーズが有名ですが、
化学組成の最後の部分が、OHかFかによって色が異なるようです。
また、アクアマリンなどと同様、放射線を浴びせ色を濃く見せる事が多く、
ブルートパーズなどはほとんどがこのような処理をしていると聞いたことが有ります。
今回購入した上の写真のトパーズはほぼ白色です。
透明度も低く、それ故にこの大きさでも安価だったと思われますが、
磨いてみるとどうなるか判りません。当然、そのつもりで購入しました。
なんとかカットして、磨いた物をお見せしたいと思います。
写真2 オレンジ掛かった色の南部石。それ以外のピンクはたぶんバラ輝石。
縦5㎝、横7㎝。
次に、おそらくマイナーな南部石を紹介します。
英語ではNambulite、日本人の博士に因んだ名のようです。
写真では見にくいですが、中央より少し上のオレンジ色の部分が南部石で、
飯田橋のショーにて1000円で購入しました。
南部石は三斜晶系という結晶系に属し、モース硬度は6~6.5、
化学組成は(Li,Na)Mn4Si5O14(OH)となっています。
LiよりNaが多いと、ソーダ南部石という別の鉱物になります。
日本で発見された鉱物で岩手県や福島県のマンガン鉱床で見られますが、
日本の他にはあまり報告が無く、アフリカやヨーロッパの一部で産出するようです。
残念ながらこの1つしか購入できなかったので、切って磨くのは
次の機会ということになりそうです。
写真3 雲母に一般的な六角形の結晶形を示すリチア雲母。縦5㎝、横6㎝、厚さ1㎝。
最後に紹介するのはリチア雲母です。
ここで書くために調べるまで勘違いしていましたが、正式な鉱物種ではないらしいです。
モース硬度は2.5~4、単斜晶系で化学組成はKLi2Al(Si4O10)(OH,F)2-K(LiAl)3(AlSi3O10)(OH,F)2、
前半組成を持つポリリシオ雲母と後半のトリリシオ雲母という鉱物種のグループ名です。
ペグマタイトや花崗岩、まれに熱水鉱床にも産出するようです。
目を回しそうな化学組成ですが、雲母族は皆このように複雑な組成を持ち、
かつ、OHやFを含むことが特徴として挙げられます。
上の写真は雲母に良く見られる六角板状のもので、
比較的綺麗な形をしていることから、観賞用として480円で買いました。
購入場所は新宿ショーです。最終日という事もあって、多少負けて頂きました。

写真4 紫色のリチア雲母。縦2㎝、横6㎝、高さ4㎝ほど。
写真4は写真3とは別のリチア雲母で、これも480円で購入しましたが板状ではなく直方体です。
雲母は千枚剥しと言われるほど層が剥がれやすく、自由に加工するには苦労します。
その点、写真4のリチア雲母は塊状で、少しアロンアルファやアラルダイトと言った樹脂で固めれば、
研磨に耐えられるだろうと思い、研磨用に購入しました。
いつになるか判りませんが、磨いたリチア雲母がどのようになるか、お見せしたいと思います。
次回はアルミを含むケイ酸塩を紹介します。
未だに手に入れた鉱物の紹介が終わっていません。
早くしないと次のミネラルショーが迫っています。
前回の予告通り、今日は水酸化鉱物です。
水酸化鉱物と言っても今日紹介する3つの鉱物は、分類上はケイ酸塩にあたり、
組成にOHが含まれるので水酸化鉱物と呼んでいます。
ケイ酸塩ではない水酸化鉱物もあり、そちらは独立したグループとして分類されています。
まずは、水酸基のついたケイ酸塩としては最も知名度が高そうなトパーズから紹介致します。
写真1 トパーズの原石。縦3㎝、横5㎝、厚さ2.5㎝。
写真を見て、これが?と思われた方がいるかもしれませんが、
お店の方が間違えてないなら、トパーズです。
飯田橋の方のミネラルショーで、1000円でした。
日本名を黄玉、斜方晶系に属し、モース硬度で8、Al2SiO4(OH,F)という化学組成です。
トパーズという名の語源がギリシャ語やサンスクリッド語にあるそうですが、
意外にもそのくらい古くから認識されていたということになります。
現在はペリドットと呼ばれる宝石が、古い時代にトパーズと言われた、と
Mindat、RRUFFなどのサイトに書かれていましたが、信憑性のほどは判りません。
ペグマタイトや高温の石英脈の中、花崗岩や流紋岩の中にも産出するそうです。
宝石としては、オレンジ色のインペリアルトパーズや青のブルートパーズが有名ですが、
化学組成の最後の部分が、OHかFかによって色が異なるようです。
また、アクアマリンなどと同様、放射線を浴びせ色を濃く見せる事が多く、
ブルートパーズなどはほとんどがこのような処理をしていると聞いたことが有ります。
今回購入した上の写真のトパーズはほぼ白色です。
透明度も低く、それ故にこの大きさでも安価だったと思われますが、
磨いてみるとどうなるか判りません。当然、そのつもりで購入しました。
なんとかカットして、磨いた物をお見せしたいと思います。
写真2 オレンジ掛かった色の南部石。それ以外のピンクはたぶんバラ輝石。
縦5㎝、横7㎝。
次に、おそらくマイナーな南部石を紹介します。
英語ではNambulite、日本人の博士に因んだ名のようです。
写真では見にくいですが、中央より少し上のオレンジ色の部分が南部石で、
飯田橋のショーにて1000円で購入しました。
南部石は三斜晶系という結晶系に属し、モース硬度は6~6.5、
化学組成は(Li,Na)Mn4Si5O14(OH)となっています。
LiよりNaが多いと、ソーダ南部石という別の鉱物になります。
日本で発見された鉱物で岩手県や福島県のマンガン鉱床で見られますが、
日本の他にはあまり報告が無く、アフリカやヨーロッパの一部で産出するようです。
残念ながらこの1つしか購入できなかったので、切って磨くのは
次の機会ということになりそうです。
写真3 雲母に一般的な六角形の結晶形を示すリチア雲母。縦5㎝、横6㎝、厚さ1㎝。
最後に紹介するのはリチア雲母です。
ここで書くために調べるまで勘違いしていましたが、正式な鉱物種ではないらしいです。
モース硬度は2.5~4、単斜晶系で化学組成はKLi2Al(Si4O10)(OH,F)2-K(LiAl)3(AlSi3O10)(OH,F)2、
前半組成を持つポリリシオ雲母と後半のトリリシオ雲母という鉱物種のグループ名です。
ペグマタイトや花崗岩、まれに熱水鉱床にも産出するようです。
目を回しそうな化学組成ですが、雲母族は皆このように複雑な組成を持ち、
かつ、OHやFを含むことが特徴として挙げられます。
上の写真は雲母に良く見られる六角板状のもので、
比較的綺麗な形をしていることから、観賞用として480円で買いました。
購入場所は新宿ショーです。最終日という事もあって、多少負けて頂きました。
写真4 紫色のリチア雲母。縦2㎝、横6㎝、高さ4㎝ほど。
写真4は写真3とは別のリチア雲母で、これも480円で購入しましたが板状ではなく直方体です。
雲母は千枚剥しと言われるほど層が剥がれやすく、自由に加工するには苦労します。
その点、写真4のリチア雲母は塊状で、少しアロンアルファやアラルダイトと言った樹脂で固めれば、
研磨に耐えられるだろうと思い、研磨用に購入しました。
いつになるか判りませんが、磨いたリチア雲母がどのようになるか、お見せしたいと思います。
次回はアルミを含むケイ酸塩を紹介します。
戻りました
雑談写真1 某県某所の風景。
先週末に戻って参りました。
写真1のような、許可が無いと立ち入れない感じの地域に調査で行ってきました。
何軒か家が見えますが、いまは誰も住んでいません。
本当はもっとたくさん写真を撮りましたが、ネット上に出して良いかどうかいまいち自身が無いので、
かろうじて一般的な風景と言えないこともないかもしれない上の写真だけお見せします。
人がいないので荒れ放題ですが、管理する役所の方や瓦礫を片付ける業者、
私たちのような研究者が結構良く訪れるようです。
いろいろ思う所はありますが、この調査が少しでも何かの役に立てれば良いなと思います。
次の更新からミネラルショーの戦利品紹介の続きに戻りたいと思います。
先週末に戻って参りました。
写真1のような、許可が無いと立ち入れない感じの地域に調査で行ってきました。
何軒か家が見えますが、いまは誰も住んでいません。
本当はもっとたくさん写真を撮りましたが、ネット上に出して良いかどうかいまいち自身が無いので、
かろうじて一般的な風景と言えないこともないかもしれない上の写真だけお見せします。
人がいないので荒れ放題ですが、管理する役所の方や瓦礫を片付ける業者、
私たちのような研究者が結構良く訪れるようです。
いろいろ思う所はありますが、この調査が少しでも何かの役に立てれば良いなと思います。
次の更新からミネラルショーの戦利品紹介の続きに戻りたいと思います。
プロフィール
HN:
heliodor
性別:
男性
趣味:
石磨き他
自己紹介:
岩石・鉱物学を修めています。
研究とは別に、自ら採取したもの、買った物、廃棄物からの取得物を用い、石を磨いています。
研究とは別に、自ら採取したもの、買った物、廃棄物からの取得物を用い、石を磨いています。
P R